ボルヴィックの硬度・pH・成分完全ガイド——オーヴェルニュ火山岩6層が生む軟水の地質科学とエビアン・コントレックスとの比較
ボルヴィック(Volvic)はフランス・オーヴェルニュ地方産の天然水で、硬度60mg/L・pH7.0という数値が特徴です。「ボルヴィックは硬水ですか?」という検索が多数観測されていますが、WHO飲料水ガイドラインの硬度分類(120mg/L未満=軟水)に照らせば答えはNo——分類上は軟水に属します。

ただし数字だけではボルヴィックの個性は伝わりません。この記事では、水源であるオーヴェルニュ火山帯の地質がどのように硬度60mg/Lを生み出すのか、シリカ32mg/Lという含有量の背景、そして日本市場でよく比較されるエビアン・コントレックスとの成分の違いを、科学的なデータとともに解説します。
ボルヴィックの基本データ
まず公式が公表している成分値を整理します(1Lあたり)。
| 成分 | 含有量 |
|---|---|
| 硬度 | 60 mg/L |
| pH | 7.0 |
| カルシウム(Ca) | 12 mg/L |
| マグネシウム(Mg) | 8 mg/L |
| ナトリウム(Na) | 12 mg/L |
| カリウム(K) | 6 mg/L |
| シリカ | 32 mg/L |
硬度60mg/LはWHO(世界保健機関)飲料水ガイドラインにおける硬度分類の境界値にあたります。WHOの分類では0〜60mg/Lを軟水、60〜120mg/Lを中程度としており、ボルヴィックはちょうど軟水の上限に位置します。日本の超軟水(南アルプスの天然水:30mg/L、屋久島縄文水:10mg/Lなど)と比べると、やや口当たりに存在感がある理由はここにあります。
オーヴェルニュ火山帯の地質——なぜ「火山水」なのか
ボルヴィックの採水地はフランス中央部・オーヴェルニュ地方のヴォルヴィック村です。この地域一帯は「ピュイ山脈とリマーニュ断層の地質・景観エリア」として2018年にユネスコ世界遺産に登録された活発な火山帯で、ピュイ・ド・ドーム火山をはじめとする噴石丘や溶岩ドームが連なります。
ボルヴィックの水は、この火山帯に降り積もった雨や雪解け水が地中に染み込み、6層の火山岩層を約5年かけて自然ろ過されることで生まれます。
| ろ過層 | 主な素材 |
|---|---|
| 第1層 | 表土・腐葉土 |
| 第2層 | 粘土層 |
| 第3層 | パーライト(火山性岩石) |
| 第4層 | 黒色溶岩(玄武岩) |
| 第5層 | 花崗岩 |
| 第6層 | 溶岩層 |
地表に降った水が山体に染み込み、何年もかけてゆっくりと地中を進む間に微粒子や不純物が除去されます。同時に、玄武岩・溶岩などの火山性ケイ酸塩鉱物に含まれるケイ素成分(SiO₂)が微量ずつ水に溶け出すため、シリカ32mg/Lという値が生まれます。
これは、フランス産天然水の中でも相対的に高いシリカ含有量です。同じフランス産のエビアンやコントレックスにはシリカのデータが公開されていないため直接比較は難しいものの、火山性地質の水がシリカを多く含む傾向はよく知られています。
成分別データ解説
カルシウム(12 mg/L)
カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です(食品表示基準 別表第11)。ボルヴィック1L中のカルシウムは12mgです。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量は18〜29歳男性で800mg/日、同女性で650mg/日であり、1Lを飲んでも男性推奨量の1.5%、女性推奨量の1.8%に相当します。水だけで1日の必要量を満たすことはできないため、食事からの摂取と組み合わせることが前提です。
マグネシウム(8 mg/L)
マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素です(食品表示基準 別表第11)。ボルヴィック1L中のマグネシウムは8mgです。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量(18〜29歳男性:340mg/日、同女性:280mg/日)に対する寄与率は男性2.4%、女性2.9%です。同様に、水単体での補給では不十分です。
シリカ(32 mg/L)
シリカ(二酸化ケイ素)は、玄武岩・溶岩などのケイ酸塩鉱物が水に溶出したものです。ボルヴィックのシリカ含有量は32mg/Lです。
なお、シリカについては「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に推奨量・目安量・耐容上限量のいずれも設定されていません。国民生活センター(2022年12月)の調査によると、米国・欧州においても十分な科学的根拠が得られていないとして指標が設定されていません。「何mgが適切か」を示す公的な基準が現時点では存在しない成分です。

ボルヴィック・エビアン・コントレックス 3本成分比較
日本市場でよく並ぶフランス産天然水3本を並べてみます。
| 項目 | ボルヴィック | エビアン | コントレックス |
|---|---|---|---|
| 硬度 | 60 mg/L(軟水) | 304 mg/L(硬水) | 1468 mg/L(超硬水) |
| pH | 7.0 | 7.2 | 7.4 |
| カルシウム | 12 mg/L | 80 mg/L | 468 mg/L |
| マグネシウム | 8 mg/L | 26 mg/L | 74.5 mg/L |
| ナトリウム | 12 mg/L | 7 mg/L | 9.4 mg/L |
| カリウム | 6 mg/L | — | 2.8 mg/L |
| シリカ | 32 mg/L | — | — |
| 採水地地質 | 火山岩層(玄武岩・溶岩) | アルプス石灰岩層 | ヴォージュ山脈石灰岩・硫酸塩層 |
同じ「フランス産天然水」でも、採水地の地質が全く異なります。エビアンはフレンチアルプスの石灰岩層(アルプス800m深層水)、コントレックスはヴォージュ山脈の石灰岩・硫酸塩地層、ボルヴィックは火山岩層——この地質の違いがそのままミネラル構成に表れています。
コントレックスのカルシウム468mg/Lはボルヴィックの約39倍。一方でボルヴィックはシリカ32mg/Lを含む一方、エビアン・コントレックスにはシリカの公式データがありません。3本の中でボルヴィックは最も硬度が低く、日常的な水分補給として飲みやすい軟水に分類されます。
味の特徴と使い方
硬度60mg/LはWHO軟水分類の上限にあたります。南アルプスの天然水(硬度30mg/L)のような口当たりの軽さはなく、エビアン(304mg/L)のような明確なミネラル感もない——その中間的な飲み口が、「欧州産の水に慣れたい」「日本の軟水では物足りない」という方に支持される理由です。
pH7.0は中性で、コーヒーや紅茶の抽出に使っても、硬水特有のミネラルの干渉が出にくい特性があります。
ボルヴィックの成分データ
エビアン(比較参照)
コントレックス(比較参照)
まとめ
ボルヴィックは硬度60mg/L・pH7.0のフランス・オーヴェルニュ産天然水で、WHO分類では軟水に該当します。6層の火山岩を約5年かけてろ過するプロセスが、シリカ32mg/Lという含有量の背景にあります。
エビアン(304mg/L)・コントレックス(1468mg/L)と並ぶフランス産3本の中では最も軟水寄りですが、日本の超軟水と比べると一定のミネラル感があります。
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参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
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