「キリン アルカリイオンの水」が製造中止になった理由——販売終了の全経緯と代替天然水ガイド
「キリン アルカリイオンの水が売っていない」「製造中止になったのはなぜ?」——コンビニやスーパーで見かけなくなったことに気づいた方も多いでしょう。2Lサイズが2022年9月、500mlサイズが2024年9月に出荷を終え、現在は全サイズが市場から姿を消しています。
先に結論を書いておくと、キリンビバレッジは終売の理由そのものを公表していません。 本記事では、公式発表とFAQから確認できる事実(いつ・どのサイズが・どこで採水されていたか)を時系列で整理し、そのうえで編集部の見方を事実と区別して示します。最後に、代わりに選べるキリンの天然水をまとめます。

いつ製造中止(出荷終了)になったか
キリンビバレッジは2022年7月14日付のプレスリリースで、「キリン アルカリイオンの水」2Lペットボトルを2022年9月30日付けで出荷終了すると発表しました(食品産業新聞社は翌7月15日付で報道)。2Lサイズは同年9月27日に発売された「キリン 自然が磨いた天然水」への切り替えに合わせて市場から消えています。
その後、500mlサイズについても2024年9月末をもって出荷終了となりました(キリンビバレッジ公式FAQより)。現在、キリンビバレッジの公式商品情報ページでは「キリン アルカリイオンの水」全サイズが「出荷終了」と表示されており、新規の出荷は行われていません。
なぜ製造中止になったのか——公式発表から確認できること
キリンビバレッジは「アルカリイオンの水」を終売にした理由を公表していません。 2022年7月14日のニュースリリースは新商品「キリン 自然が磨いた天然水」の発売案内であり、終売の理由を説明する文書ではありません。
そのうえで、このリリースから確認できる事実は次の3点です。
- 2Lの販売終了が、新商品「キリン 自然が磨いた天然水」への商品切り替えとして案内されている
- リリースが国産水への需要の高まりに言及している
- リリースが「軟水の天然水」を求める顧客ニーズに言及している
ただし2と3は、新商品を投入する理由として書かれたものです。リリースはこれらを「アルカリイオンの水を終売にする理由」としては述べていません。両者は切り分けて読む必要があります。
どんな水だったのか(公式FAQから確認)
「キリン アルカリイオンの水」は、原材料名が「水(鉱水)」すなわち地下水で、これを電気分解によってアルカリイオン化したものでした。キリンの公式FAQは「大自然が育んだミネラルバランスのよい水を、電気分解によりアルカリイオン化した、口あたりまろやかなおいしい軟水です」と説明しています。pH値は8.8〜9.4で、同FAQは「pH値が8.8~9.4なのでアルカリ性になります」としています。殺菌は加熱によるものです。
つまり「自然ろ過された地下水をそのまま詰めた水」ではなく、人為的な処理を経た水でした。ここが後継商品との最大の違いです。
編集部の見方——ここから先は推測です
以下は公式発表の記述ではなく、MIZUNOMO編集部が市場の状況から立てた見方です。確定した終売理由ではありません。
ここ10年あまり、ミネラルウォーター市場では「採水地の自然ろ過された天然水」を訴求するナチュラルミネラルウォーターが伸びてきました。キリンが2022年に投入した後継商品も「日本の大自然でろ過された軟水」を前面に出しています。処理を経たアルカリイオン水と、処理を経ていない天然水では訴求軸が異なるため、同社が後者に資源を寄せた結果として前者が整理された——という読み方は成り立ちます。ただしこれを裏づける当時の同社資料は確認できていません。
なお2026年5月の業界紙報道では、キリンビバレッジが「価格訴求に終始するのではなく、ブランドの価値向上につながるコミュニケーションを重視する」方針を示しています(日本食糧新聞)。これは2026年時点の方針であって、2022年の終売を説明する資料ではありません。4年の隔たりがあるため、終売の理由として扱うことはできません。
現在の代替商品——「キリン 自然が磨いた天然水」
「アルカリイオンの水」の後継として位置づけられているのが、「キリン 自然が磨いた天然水」です。2022年9月27日に発売され、現在もコンビニ・スーパー・自動販売機などで流通しています。
| 指標 | キリン 自然が磨いた天然水(600ml・松本製造品) |
|---|---|
| 分類 | ナチュラルミネラルウォーター |
| 硬度 | 53mg/L |
| pH | 6.9 |
| カルシウム | 13mg/L |
| マグネシウム | 3.5mg/L |
| ナトリウム | 5.5mg/L |
| カリウム | 0.7mg/L |
硬度53mg/LはWHO分類の軟水(60mg/L未満)に属します。アルカリイオン水(pH8.8〜9.4)とは異なりpH6.9の中性寄りの水で、低ミネラルで飲みやすい国産軟水です。
なお同じ商品名でも採水地によって水質が異なります。公式商品情報は600mlについて、長野県松本市製造品がpH6.9・硬度53mg/L、静岡県駿東郡小山町製造品がpH7.8・硬度36mg/Lと記載しています。上表はMIZUNOMOデータベースが採用している松本製造品の値です。

「アルカリイオンの水」と「自然が磨いた天然水」の違い
2つの商品は製造方法と水のカテゴリが根本的に異なります。
| 比較項目 | アルカリイオンの水 | 自然が磨いた天然水 |
|---|---|---|
| 原材料名 | 水(鉱水) | 水(鉱水) |
| pH | 8.8〜9.4(電気分解で調整) | 6.9(松本)/ 7.8(小山町) |
| 硬度 | 100mg/L以下の軟水 | 53mg/L(松本)/ 36mg/L(小山町) |
| 製造方法 | 電気分解でアルカリイオン化 | 採水・ろ過・加熱殺菌のみ |
| 採水地 | 静岡県御殿場市 もしくは 岐阜県岐阜市(2L)/ 静岡県焼津市(500ml) | 長野県松本市・静岡県駿東郡小山町(600ml) |
採水地はキリン公式FAQが明示している値です。「アルカリイオンの水」はサイズによって採水地が異なり、2Lは静岡県御殿場市もしくは岐阜県岐阜市、500mlは静岡県焼津市でした。
この違いは商品分類にも表れます。農林水産省の「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」(平成2年3月30日 2食流第1071号、平成7年2月17日改正)は、品名の表示を次のように定めています。
- 特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿・濾過・加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの → 「ナチュラルウォーター」。うち鉱化された地下水を原水としたものは「ナチュラルミネラルウォーター」
- ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、ミネラルの調整・ばっ気・複数水源の混合等を行ったもの → 「ミネラルウォーター」
- 上記以外のもの → 「飲用水」又は「ボトルドウォーター」
電気分解はここでいう「沈殿・濾過・加熱殺菌」のいずれにも当たらないため、アルカリイオン水はナチュラルミネラルウォーターには該当しません。一方で後継の「自然が磨いた天然水」はナチュラルミネラルウォーターです。「同じキリンの水」でも、制度上は別カテゴリの商品に置き換わったことになります。
まとめ
「キリン アルカリイオンの水」は、2Lサイズが2022年9月30日、500mlサイズが2024年9月末に出荷を終え、現在は全サイズが市場から姿を消しています。終売の理由そのものはキリンビバレッジから公表されていません。 公式発表から確認できるのは、2Lの販売終了が新商品「キリン 自然が磨いた天然水」への商品切り替えとして案内されたことまでです。
後継の「キリン 自然が磨いた天然水」は、電気分解を行わないナチュラルミネラルウォーターで、硬度53mg/L(長野県松本市製造品)の国産軟水として全国で流通しています。
MIZUNOMOでは「キリン 自然が磨いた天然水」のNONDA記録・評価のほか、同様の軟水・天然水を成分データで比較できます。
参考情報
- キリンホールディングス ニュースリリース「『キリン 自然が磨いた天然水』を新発売」(2022年7月14日)
- キリン公式FAQ「『アルカリイオンの水』の採水地はどこですか?」(2024年9月末 出荷終了の記載あり)
- キリン公式FAQ「『アルカリイオンの水』に書いてある、pH値とは何ですか?」(pH8.8〜9.4)
- キリン公式FAQ「『アルカリイオンの水』の殺菌方法について教えてください。」(電気分解によるアルカリイオン化の説明)
- キリン公式FAQ「ラベルの表には『軟水』、裏の原材料名には『水(鉱水)』とありますが…」
- キリン「自然が磨いた天然水 600ml ペットボトル」公式商品・品質情報(採水地・pH・硬度)
- 食品産業新聞社「キリンがミネラルウォーター戦略変更、キリン 自然が磨いた天然水9月27日発売、アルカリイオンの水2リットルは終売」(2022年7月15日付報道)
- 日本食糧新聞「ミネラルウオーター・炭酸水特集:キリンビバレッジ 自然が磨いた天然水育成を」(2026年5月26日)
- 農林水産省「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」本文(平成2年3月30日 2食流第1071号/平成7年2月17日改正)
- 林野庁「水源の森百選」資料(ミネラルウォーター類の分類表)
- MIZUNOMO 軟水ランキング(硬度の低い順)
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
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