エビアンの硬度・pH・成分完全ガイド——硬度304mg/Lの理由とフランス産硬水3本比較
エビアン(evian)を手に取ったとき「硬水」と書いてあるのを見て気になった方は多いはずです。硬度304mg/L、pH7.2——この数値は日本の天然水と比べてどれくらい違うのか、そしてなぜこんなに高い硬度になるのか。フレンチアルプスの地質科学から、カルシウム・マグネシウムの成分としての特徴、コントレックス・ヴィッテルとの違いまで、MIZUNOMOのデータと合わせて徹底解説します。

硬度304mg/Lとは——日本の天然水の約10倍
日本で広く飲まれているサントリー天然水(南アルプス)の硬度は約30mg/L、い・ろ・は・すは27〜71mg/Lと超軟水〜軟水の範囲に収まります。エビアンの硬度304mg/LはWHOが定める「硬水の基準(120mg/L以上)」の2.5倍以上、日本の代表的な天然水の約10倍に相当します。
| ブランド | 産地 | 硬度 (mg/L) | 分類 |
|---|---|---|---|
| い・ろ・は・す(白州) | 南アルプス | 27 | 超軟水 |
| サントリー天然水 | 南アルプス | 30 | 超軟水 |
| エビアン | フレンチアルプス | 304 | 硬水 |
| ヴィッテル | フランス・ヴォージュ | 768 | 硬水 |
| コントレックス | フランス・ヴォージュ | 1,468 | 超硬水 |
硬度はカルシウム(Ca²⁺)とマグネシウム(Mg²⁺)の合計濃度を炭酸カルシウム換算した値です。エビアンが「日本の水より硬い」のは、水が地下をろ過される際に溶け込むミネラル量の違いによるものです。
フレンチアルプスの「15年の旅」が硬度を生む
エビアンの水源はフランス南東部、レマン湖(ジュネーヴ湖)南岸のエビアン・レ・バン(Évian-les-Bains)周辺にあるカシャ水源です。
フレンチアルプスに降った雨や雪は、まず標高2,000〜3,000mの山岳地帯に積もった氷河に吸収されます。そこから地中に浸透した水は、氷河期(約2万年前)に形成されたモレーン(氷堆石)の砂礫層をゆっくりと通過し、約15年の年月をかけて麓の採水地まで到達します。
この長い旅の間、水はアルプス特有の石灰岩・砂岩・泥岩が混在する地層と接触し続けます。石灰岩の主成分は炭酸カルシウム(CaCO₃)で、わずかに酸性の地下水にじわじわと溶け出しカルシウムを付与します。砂礫層のケイ酸塩鉱物からはマグネシウムが少しずつ溶出します。この地質的プロセスにより、エビアンはカルシウム80mg/L・マグネシウム26mg/Lという独自のミネラル構成を持つ水になるのです。

pH7.2の弱アルカリ性——なぜ硬水なのに飲みやすい?
エビアンのpHは7.2です。硬水は一般にpHが高く「クセが強い」イメージがありますが、エビアンが「硬水のわりにスッキリ飲める」と言われる理由は、この穏やかな弱アルカリ性と低いナトリウム量(7mg/L)にあります。
同じフランス産硬水のコントレックスは硬度1,468mg/Lで、マグネシウムを多く含むため独特のえぐみがあります。エビアンはカルシウム主体でマグネシウムが少な目な設計(Ca:Mg = 約3:1)のため、苦味が抑えられています。
水の「口当たり」を決める因子として炭酸水素イオン(HCO₃⁻)も重要です。エビアンは炭酸水素イオンを280mg/L含み、これが舌の受容体を緩やかに刺激してまろやかさを生み出しています。
成分詳細——カルシウム・マグネシウムの健康科学
エビアン100mlあたりの主要成分
| 成分 | エビアン | 成人1日の目安 |
|---|---|---|
| カルシウム | 8.0 mg | 650〜800 mg |
| マグネシウム | 2.6 mg | 340〜370 mg(成人男性) |
| ナトリウム | 0.7 mg | 〜2,000 mg |
| カリウム | 0.1 mg | 2,500 mg |
| 炭酸水素イオン | 28.0 mg | — |
500mlボトル1本にはカルシウム40mg、マグネシウム13mgが含まれます。日本人の平均的なカルシウム摂取量は不足傾向にあるため、食事に加えてエビアンを日常的に飲むことで摂取量を補完できます。
マグネシウムと便通の関係:マグネシウムは体内で吸収されにくく、腸内に水分を引き込む浸透圧効果があるため、自然な便通を促す作用があります。酸化マグネシウム系便秘薬が用いるのと同じ原理です。ただし個人差があり、過剰摂取は逆に下痢を引き起こす可能性もある点には注意が必要です。
カルシウムと骨密度:水由来のカルシウムは食事由来と同様に体内で利用されます。ただし硬水の長期飲用と骨密度の直接的な因果関係を示す大規模臨床試験はまだ限定的で、現時点では「補助的な摂取源」として位置づけるのが科学的に正直な評価です。

フランス産硬水3本を徹底比較
エビアン・ヴィッテル・コントレックスは、いずれもフランス産のナチュラルミネラルウォーターですが、採水地が異なり成分も大きく違います。
エビアン(フレンチアルプス・エビアン・レ・バン)は硬度304mg/Lで石灰岩地層由来のカルシウム主体。スッキリとした飲み口が日常飲用に向き、硬水入門としても試しやすい一本です。
ヴィッテル(フランス・ヴォージュ山脈)は硬度768mg/Lで、エビアン(304mg/L)の2倍以上の硬水です。カルシウム240mg/Lと豊富ですが、コントレックスほどマグネシウムが多くないため、硬水の中では比較的クセが少なく、クリアでスッキリとした飲み心地が特徴です。
コントレックス(フランス・ヴォージュ山脈コントレクスヴィル)は硬度1,468mg/Lの超硬水で、マグネシウム74.5mg/Lという高濃度から独特の苦味があります。高ミネラル摂取目的の集中的な飲用に注目されますが、毎日の飲用には慣れが必要です。
日常の水分補給にはエビアン・ヴィッテル、ミネラル量を重視する集中的な飲用にはコントレックス——このような使い分けが広く行われています。日本の超軟水と比較したい場合は以下の代表銘柄が分かりやすいでしょう。
硬水を飲む際の注意点
硬水は一般的に安全ですが、いくつかの点に注意が必要です。
- 乳幼児のミルク調製: マグネシウムやカルシウムが多いため、硬水は乳幼児用ミルクの調製に適しません。軟水または軟水化した水を使用してください
- 腎結石リスク: カルシウムを大量に摂取すると腎結石(シュウ酸カルシウム)のリスクが高まる場合があります。既往症がある方は医師に相談を
- 料理への影響: 豆類を硬水で煮ると煮崩れしにくくなるなど、料理の仕上がりに影響します。出汁の香りが飛びやすいという側面もあります
MIZUNOMOデータベースで自分の水と比較しよう
MIZUNOMOには国内外40種以上のミネラルウォーターの硬度・pH・ミネラル組成が掲載されています。エビアンの硬度304mg/Lを起点に、日本の超軟水から欧州の超硬水まで並べて比較すると、自分に合う水を見つける際の参考になります。
エビアンを試したことがある方は、ぜひNONDA記録に「おいしさ・からだへの良さ・リピート力」の3軸で評価を記録してみてください。
参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
プロフィール: iihito.jp ↗




