FUJI SUN SUI(富士山水)は体に悪い?——硬度・シリカ・pH・成分を科学で検証
「FUJI SUN SUI 体に悪い」「富士山水 怪しい」——検索エンジンにこうしたワードを入力する方が急増しています。コンビニやネット通販で見かけるFUJI SUN SUIについて、成分に不安を感じているケースが多いようです。
本記事では、硬度・pH・シリカ・炭酸水素イオンなど実際の成分データと、ナチュラルミネラルウォーターとしての規格基準に基づいて、科学的な視点からFUJI SUN SUIの全容を整理します。

FUJI SUN SUIとは——採水地と製造元
FUJI SUN SUI(フジサンスイ)は、静岡県の株式会社富士の源水が製造・販売するナチュラルミネラルウォーターです。採水地は静岡県の富士山麓で、500ml・1本あたり100円前後と、富士山産天然水のなかでは手の届きやすい価格帯に位置します。
採水地となる富士山は日本最大の活火山であり、その溶岩層が天然のろ過装置として機能します。降雨・降雪が玄武岩質の溶岩や火山灰層を通して長い年月をかけて浸透し、ミネラルを溶かし込んで湧水となります。この地質プロセスが、シリカ(ケイ素)や炭酸水素イオンを含む富士山系水の特徴的な成分組成を形作っています。
「怪しい」と感じる方の多くは、聞き慣れないブランド名や、シリカ・炭酸水素イオンといった成分表示への疑問からきています。これらが何か、順を追って確認しましょう。
FUJI SUN SUIの成分データ——数値で読む
MIZUNOMOに登録されたFUJI SUN SUIの公式成分値(1Lあたり)は以下の通りです。
| 成分 | 含有量 | 補足 |
|---|---|---|
| 硬度 | 39mg/L | 超軟水に分類 |
| pH | 7.23 | 中性〜弱アルカリ性 |
| カルシウム(Ca) | 10.1mg/L | 硬度への寄与分 |
| マグネシウム(Mg) | 3.5mg/L | 硬度への寄与分 |
| ナトリウム(Na) | 4.0mg/L | — |
| カリウム(K) | 1.1mg/L | — |
| シリカ(SiO₂) | 17mg/L | 後述 |
| 炭酸水素イオン(HCO₃⁻) | 48mg/L | 後述 |
硬度39mg/Lは「超軟水」です。 WHO(世界保健機関)の飲料水硬度分類では0〜60mg/Lが軟水とされており、FUJI SUN SUIはそのなかでも低い値に位置します。サントリー天然水(南アルプス)が硬度30mg/L、い・ろ・は・す白州が硬度44mg/Lであることを考えると、ごく一般的な国産軟水の範囲です。
なお、硬度はカルシウムとマグネシウムの量から算出します(Ca×2.497 + Mg×4.118)。FUJI SUN SUIを計算すると 10.1×2.497 + 3.5×4.118 ≈ 39mg/L となり、表示値と整合しています。
pH7.23は「ほぼ中性」です。純水(pH7.0)よりわずかに高い値で、炭酸水素イオン(48mg/L)を含むことで弱アルカリ寄りになっています。
「体に悪い」は正確か——食品安全上の根拠
FUJI SUN SUIは、農林水産省が定めるナチュラルミネラルウォーターの品質表示ガイドラインの対象商品です。
ナチュラルミネラルウォーターとは、地下水(地中をろ過された水)のうち、沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の処理を加えていないものです。化学的な処理や添加物の投入は認められておらず、表示されたミネラル成分は採水地由来のものです。
日本でナチュラルミネラルウォーターを販売するには、食品衛生法が定める基準(大腸菌・一般細菌数・亜硝酸性窒素・有害物質等)をクリアし、ロットごとの検査と採水地の定期的な水質確認が義務付けられています。
現時点でFUJI SUN SUIに行政処分・製品回収の記録はありません。食品衛生法をクリアしたナチュラルミネラルウォーターである以上、「体に悪い成分が含まれている」という主張には根拠がありません。
ただし、味の好みは別の話です。 炭酸水素イオンを含む水は独特の後味やわずかな苦みを感じる場合があり、これを「体に合わない」と表現する口コミが「体に悪い」という印象につながることがあります。これは安全性の問題ではなく、個人の味の感受性です。

シリカ(SiO₂)17mg/Lを正確に理解する
FUJI SUN SUIにはシリカ(ケイ素)が17mg/L含まれています。「シリカ水」として関心を集める成分ですが、正確に理解しておきたいポイントがあります。
シリカは厚生労働省「日本人の食事摂取基準」に推奨量・目安量・耐容上限量のいずれも設定されていません。 国民生活センターの調査(2022年12月)では、「米国・欧州の栄養機関においても十分な科学的根拠が得られないとして指標が設定されていない」と指摘されています。
これは「シリカが危険」という意味ではありません。「どの程度が適切かを示す科学的な合意がまだない」という状態です。したがってシリカについてMIZUNOMOは、含有量データ(17mg/L)の提示にとどめています。
また、シリカ(ケイ素)は農林水産省が定める「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品とは判断しない成分本質リスト」に掲載されており、逆にいえば効能を謳った商品は無承認無許可医薬品として扱われる可能性があります。「美肌・髪・骨に効く」と表示するシリカ水商品を見かけた際は、この点を念頭に置いて購入判断することをお勧めします。
炭酸水素イオン(HCO₃⁻)48mg/Lの意味
炭酸水素イオン(重炭酸イオン)は、富士山溶岩層の鉱物が地下水に溶け出した成分で、FUJI SUN SUIには48mg/Lが含まれています。
炭酸水素イオンはナトリウム・カリウムとともに体液のpH調節(酸塩基平衡)に関与する電解質のひとつです(出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年版」ミネラル各論)。ただし、1本(500ml)に含まれる量は24mgであり、体内の調節機構に影響を与えるほどの量ではありません。
味の面では、炭酸水素イオンが多い水は「まろやか」「ほのかな後味がある」と表現されることがあります。国内のミネラルウォーターのなかでは48mg/Lは中程度の含有量です。
富士山産天然水のなかでのFUJI SUN SUIの位置
富士山を採水地とする天然水は複数流通しています。FUJI SUN SUIの硬度39mg/Lは、富士山産としては標準的な超軟水の範囲です。シリカ17mg/Lは、同じ国産シリカ水として知られる霧島系水(70mg/L超)と比べるとおよそ4分の1の含有量で、特別に突出した値ではありません。
成分の差はおもに採水する地層の深さと滞留時間によります。玄武岩・スコリア層の厚みが厚く、浸透経路が長いほどシリカや炭酸水素イオンが多く溶け込む傾向があります。FUJI SUN SUIの採水地は富士山南西麓で、この成分バランスは典型的な富士山系超軟水の範囲に収まっています。

まとめ——FUJI SUN SUIを選ぶ前に知っておきたいこと
- 「体に悪い」の科学的根拠はない: 食品衛生法適合のナチュラルミネラルウォーター。現在行政処分・製品回収の記録なし
- 硬度39mg/L・超軟水: 口当たりが軽く、食事・お茶・コーヒー・料理との相性が幅広い
- pH7.23: ほぼ中性、炭酸水素イオン由来で弱アルカリ寄り
- シリカ17mg/L: 含有しているが、食事摂取基準に指標が設定されていない成分。効能・効果の表現は科学的根拠として参照できない
- 炭酸水素イオン48mg/L: 富士山溶岩層由来。1本あたりの含有量は体内調節への影響が生じるレベルではなく、後味の特徴に影響する
「怪しい」「体に悪い」という印象の多くは、聞き慣れない成分名と、マーケティング表現への不信感が背景にあります。成分データと規格基準を確認すれば、特段問題のない国産超軟水です。
ほかの富士山産天然水や、シリカ含有量の異なる国産天然水との比較はMIZUNOMO水データベースでご確認いただけます。
参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
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