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キリンビバレッジ「自然が磨いた天然水」——2026年は「価格よりブランド価値」で国産軟水市場を深耕する

MIZUNOMO編集部公開 2026年7月29日読了時間 4

2022年秋に「キリン アルカリイオンの水」2Lボトルを終売し、「キリン 自然が磨いた天然水」へと舵を切ったキリンビバレッジ。あれから約4年が経った2026年、同社は春の業界向けレポートで「価格訴求に終始するのではなく、ブランドの価値向上につながるコミュニケーションを重視する」という方針を改めて打ち出しました。値上げと物価高が飲料市場全体を揺らす中、国産軟水ブランドとしての独自ポジションをどう確立するのか——その戦略と、「自然が磨いた天然水」の成分科学を深掘りします。

ペットボトル水が並ぶ店頭の様子

2022年に何が起きたか——「アルカリイオン水」から「天然水」への転換

キリンビバレッジが2022年9月に断行した戦略転換のポイントは、大きく3つです。

1. 商品カテゴリの変更 「キリン アルカリイオンの水」は弱アルカリ性(pH8.0以上)に調整された処理水でした。一方「キリン 自然が磨いた天然水」は、地下深部から採水したナチュラルミネラルウォーター。「人が手を加えた機能」から「自然が育んだ素材」への転換です。

2. 2Lサイズの終売 アルカリイオンの水の2Lは2022年9月末に販売終了。容量を整理することで、天然水ブランドへのリソース集中を図りました。

3. 価値軸の転換 「弱アルカリ性」という機能訴求から、「国産採水地・自然ろ過」というナチュラル訴求へ。「国産であることによる安心・安全」と「軟水の天然水であることによるおいしさ」を前面に押し出す戦略です。

2026年の方針——「価格より価値」でブランドを育てる

2026年春の業界向けレポートでキリンビバレッジが示した「自然が磨いた天然水」の方針は、新商品・リニューアルではなく既存ブランドの価値を深めるというものでした。

同社は価格訴求に終始するのではなく、ブランドの価値向上につながるコミュニケーションを優先する考えを示しています。国産軟水としての飲みやすさや、採水地との結びつきを丁寧に伝えることで、価格競争から距離を置く戦略です。

容器面では、ラベルレスボトルやエコボトルの展開を継続しています。環境配慮型パッケージは「サステナビリティを気にかける消費者層」へのアピールにもなっており、価格以外の選択軸として機能しています。

また、お茶・コーヒーの抽出用途や就寝前の水分補給など、日常の多様なシーンでの使用を提案するコミュニケーションを重視するとしています。

「自然が磨いた天然水」の成分データ

MIZUNOMOが収録する「キリン 自然が磨いた天然水」の主要成分データ(600ml・松本製造品)は以下の通りです。

指標数値
硬度53mg/L
pH6.9
カルシウム13mg/L
マグネシウム3.5mg/L
ナトリウム5.5mg/L
カリウム0.7mg/L

硬度53mg/LはWHO分類の「軟水(0〜60mg/L)」に属します。カルシウムとマグネシウムのバランスはCa:Mg比で約3.7:1で、低いミネラル総量と相まって、いわゆる「やわらかな飲み口」の成分的な背景となっています。

なお、2Lサイズは採水地が異なり、静岡県御殿場市製造品は硬度約58mg/L、岐阜県岐阜市製造品は硬度約49mg/Lと、容量によって数値が変わります。購入時にラベルに記載される採水地を確認することをおすすめします。

自然が磨いた天然水

✨ この記事で紹介

自然が磨いた天然水

キリンビバレッジ

軟水硬度 53mg/LpH 6.9

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深層地下水とは何か——「自然が磨いた」の科学的背景

「自然が磨いた天然水」という商品名は、その原水の成り立ちに由来しています。長野県松本市や静岡県駿東郡小山町の地下深部に存在する深層地下水を採水しており、これは地表に降った雨や雪解け水が地層を長期間かけて自然ろ過されながら蓄積されたものです。

国産天然水の採水地をイメージした山岳風景

深層地下水がナチュラルミネラルウォーターの原水として適している理由は、主に2点です。

自然ろ過による清浄性 砂・砂利・岩石などの地層が物理的・化学的なフィルターとして機能し、不純物を取り除きます。長野県松本市周辺は北アルプス山麓に位置し、花崗岩や変成岩を主体とする地質が地下水の浄化に働きます。ミネラルはほどよく溶出しながら、清浄な状態が維持されます。

安定した水質 深層地下水は地表からの直接的な影響を受けにくいため、季節変動が小さく、年間を通して安定した水質が保たれます。これがミネラルウォーターとして一定品質の製品供給を可能にしています。

国産軟水市場での位置づけ

主要な国産天然水ブランドの硬度を比較すると、「自然が磨いた天然水」の53mg/Lは中間的な位置にあります。

ブランド硬度(目安)
屋久島縄文水10mg/L
サントリー天然水 奥大山20mg/L
サントリー天然水(南アルプス)30mg/L
セブンプレミアム 天然水40mg/L
キリン 自然が磨いた天然水(松本)53mg/L

硬度30mg/L前後の超軟水が目立つ国産天然水の中で、53mg/Lはやや存在感のある数値です。ミネラル感を求めつつも、軟水らしいやわらかさを保ちたいという層に向いた水といえます。

5,057億円(2025年)まで成長した国内ミネラルウォーター市場において、大量販売・低価格競争に巻き込まれずにブランドを育てる戦略は、長期的に見て差別化の鍵となり得ます。2026年のキリンビバレッジの方針は、「水をどう売るか」ではなく「水の価値をどう伝えるか」に重点を置いたものです。

MIZUNOMOでは「キリン 自然が磨いた天然水」のNONDA記録・評価を受け付けています。ほかの国産軟水との成分比較や、実際に飲んだ感想のデータ蓄積にご活用ください。


参考情報

監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)

プロフィール: iihito.jp ↗

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