「30年ぶり渇水対策本部」——神奈川ダム貯水率34%と梅雨前線遅れが問う、夏の「水の備え」科学

2026年3月3日、神奈川県は1996年以来30年ぶりとなる渇水対策本部を設置しました。宮ヶ瀬ダムが完成した2001年以来最低となるダム貯水率34%を受けた異例の措置です。さらに関東甲信地方の梅雨入りは「平年より遅い」と予測される中、本格的な夏を前にした水の確保をどう考えるべきか——科学的データで読み解きます。
なぜ神奈川のダムは空になったのか
神奈川県民の水道水を支えているのは、相模川水系の相模湖・津久井湖・宮ヶ瀬湖と、酒匂川水系の丹沢湖の4湖です。これらを合算した貯水量は3月1日時点で約1億1,000万立方メートル、貯水率は34%にまで落ち込みました。平年の半分以下で、宮ヶ瀬ダム竣工以来最低の水準です。
原因は2025年秋から続く慢性的な少雨傾向です。2026年1月の降水量は関東甲信で統計開始以来3番目の少なさを記録。冬の積雪が少なかった山岳部では、春の融雪水も例年を大きく下回りました。
渇水対策本部の設置とともに、神奈川県は東京都への分水量を通常の日量約22万立方メートルから11万立方メートルへ50%削減しました。現時点では一般家庭への給水制限は実施されていませんが、県は「水は限りある資源ですので大切に」と節水を呼びかけています。
梅雨は「救世主」になれるか
ダム渇水を解消する最大の鍵は梅雨の降水量です。しかし2026年の梅雨は楽観できません。気象予報では関東甲信の梅雨入りは「平年より遅い6月中旬」が見込まれており、傾向として「晴れの日が多く、降る時はまとめて降る」集中型が予測されています。
集中豪雨はダムの貯水には効果的ですが、その一方でリスクもあります。一度に大量の濁り水が流入すると浄水処理への負担が増し、水道水の品質に一時的な影響が生じる可能性があります。実際、2023年の首都圏渇水時には一部地域で水道水の塩素臭が強くなったと報告されています。
渇水→貯水率低下→取水源の濃縮→浄水処理強化→塩素使用量増加、という連鎖は、化学的には避けられないプロセスです。
渇水が水道水の「味」を変えるメカニズム
通常の浄水処理は凝集→沈殿→ろ過→塩素消毒の4段階で行われます。渇水時に貯水率が下がると次のような変化が起きやすくなります。
| 現象 | 理由 |
|---|---|
| 塩素臭の強化 | 取水源の有機物濃度が上がり、消毒に必要な塩素量が増える |
| 濁りの増加 | 雨後の一時的な泥の流入(渇水後の集中豪雨で起きやすい) |
| カビ臭・土臭 | 貯水量が少なくなるとダム底部の堆積物が攪拌されやすくなる |
水道水は日本の水道法により51項目の厳格な基準を満たしており、健康被害が生じるレベルではありません。それでも「夏の水道水がいつもと違う」と感じる方がいるのは、こうした科学的背景があるからです。

ペットボトル天然水の備蓄、何本必要か
内閣府の「家庭における食料・飲料水等の備蓄の推進について」では、1人1日3L×7日分=21Lの備蓄が推奨されています。550mlのペットボトルに換算すると1人分で38本。4人家族なら2Lボトル42本が目安になります。
ポイントは「日常消費しながら補充するローリングストック法」です。賞味期限が長い(約2年)天然水ペットボトルを毎週1〜2本ずつ追加購入し、古いものから飲む習慣をつけると、備蓄負担が大幅に減ります。
備蓄水の科学的な選び方
すべての水が「備蓄向き」というわけではありません。MIZUNOMOに掲載されている40種以上の水のデータから、備蓄選びのポイントを整理しました。
硬度で選ぶ
渇水時・非常時の水分補給は、口当たりが柔らかく飲みやすい軟水(硬度120mg/L未満)が基本です。特に赤ちゃんや高齢者のいる家庭では、粉ミルクの調乳や日常の飲用にも合わせやすい硬度30mg/L以下の超軟水が扱いやすい選択肢です。サントリー天然水(南アルプス:硬度30mg/L)やい・ろ・は・す白州(硬度27mg/L)は、万人向けの選択肢として優秀です。
保存のポイント
ペットボトル天然水を備蓄する際は次の点を守ると品質を保てます。
- 直射日光・高温を避ける(光と熱でプラスチックが酸化し風味が変わる)
- 床置きは避け、段ボール箱に入れたまま保管
- 賞味期限から逆算して3〜6か月前に消費を始める
MIZUNOMOで「備蓄の水」を探す
渇水が懸念される夏本番を前に、MIZUNOMOでは硬度・pH・産地を軸に国内外40種以上の水を比較できます。
日常の飲み水を備蓄用に選ぶ際は「NONDA記録」で自分や家族が実際においしく飲めている銘柄を確認するのが最も確実な方法です。非常時においしく飲めない水は、水分補給量の低下につながります。

神奈川の渇水問題は、一部の地域だけの課題ではありません。気候変動の影響で、国内各地で同様の水不足リスクが高まっています。「水はいつでも蛇口から出る」という前提を少し見直し、今年の夏こそ家庭の水の備えを整えてみませんか。
参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
プロフィール: iihito.jp ↗

