台風3〜6個接近が予測される2026年8月——「保存水」vs天然水の科学と、1家族が備えるべき本数計算

日本気象協会は2026年7月31日、「8月中は台風3〜6個が日本に接近する見込みで、お盆前後にかけて発生が増加する可能性がある」と発表しました。台風は強風・大雨をもたらすだけでなく、浄水場への土砂流入・送水管の損傷・停電による揚水ポンプ停止などを通じて断水を引き起こすことがあります。
「備蓄水はスーパーで売っている天然水でよいのか」「専用の保存水が必要か」——こうした疑問を持つ方は多いでしょう。この記事では、ペットボトル水の保存科学、1家族が必要な本数の計算式、そして専用保存水と通常の天然水の違いをデータで整理します。
台風が断水を引き起こす2つの経路
台風が断水の原因になる経路は主に2つです。
1. 浄水場への土砂・濁水流入 台風による大雨で河川が増水・濁度が急上昇すると、浄水場は取水を停止せざるを得ない場合があります。浄水処理が追いつかない間は配水を停止または制限することがあります。
2. 停電による揚水ポンプの停止 マンションなどの集合住宅や高台の住宅では、電動ポンプで水を汲み上げています。台風に伴う停電が長引くと、浄水場から水が届いていても蛇口で水が出なくなります。
これらの断水は台風通過後も数日〜1週間程度続く場合があり、事前の備蓄が唯一の対策になります。
1人1日3L:内閣府が示す備蓄水の計算式
内閣府「防災情報のページ」および農林水産省「今すぐ取り組む食料備蓄」では、飲料水は1人1日3Lを目安として示しています。これは飲水(1.5〜2L)+調理・歯磨きなど生活用水(1〜1.5L)を合わせた最低限の量です。
| 期間 | 1人分 | 4人家族分 |
|---|---|---|
| 3日分(最低限) | 9L = 2Lボトル4.5本 | 36L = 2Lボトル18本(約3ケース) |
| 7日分(推奨) | 21L = 2Lボトル10.5本 | 84L = 2Lボトル42本(約7ケース) |
内閣府はまず3日分から始め、徐々に7日分へ増やすことを推奨しています。台風や大雨による断水は地震ほど長期化しにくいですが、2019年台風19号では長野県などで断水が1週間以上続いた地区もあり、7日分が安心の目安です。
ポイント: 飲料水とは別に、トイレ・掃除用のポリタンク水(風呂への水ため等)を確保しておくと、ペットボトル備蓄水を飲料専用に使えます。
通常の天然水(2年)vs 長期保存水(5〜10年):何が違うのか
スーパーやコンビニに並ぶ通常のミネラルウォーターの賞味期限は2年程度です。これはペットボトルを透過する微量の酸素が水質に影響を与える前に消費することを前提にした設定です。
長期保存水は、この酸素透過を抑えるためにPETボトルの肉厚を増やし、酸素バリア層を追加しています。市販されている主な保存期間の目安は以下の通りです。
| 種類 | 賞味期限の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 通常のミネラルウォーター | 約2年 | 軽量・低コスト・普段飲みと兼用可 |
| 長期保存水(短中期) | 約5年 | 厚手PETボトル・スタッキング可能 |
| 長期保存水(長期) | 約10〜15年 | 厚手PET+酸素バリア層・アルミ缶も |
ただし「保存水」というカテゴリに法的な定義はなく、製品ごとに保存年数や容器の品質が異なります。購入時は賞味期限と容器の仕様を確認してください。

ローリングストック:専用保存水不要で備蓄を維持する方法
5年・10年保存の専用保存水は通常の天然水より割高で、普段飲みには向かないケースが多いです。そこで近年、内閣府・農林水産省が積極的に推奨しているのがローリングストック(循環備蓄)です。
ローリングストックの手順
- 普段から2〜3ケース多めにミネラルウォーターを購入・保管する
- 古いものから順に日常の飲料水として使う
- 使った分だけ新しいものを補充する
賞味期限は2年あるため、月に数本消費しながら補充し続ければ常に一定量が「在庫」として確保できます。災害用に別途管理する必要がなく、「気づいたら期限切れ」という事故も防げます。
保管場所の注意点 ペットボトル水は直射日光と高温(特に40℃以上)が品質に悪影響を与えます。押し入れの奥・床下収納・玄関のシューズクローゼットなど、涼しく暗い場所での保管を心がけてください。また、ガソリン・洗剤などの揮発性物質の近くでは保管しないこと。ペットボトルはガスをわずかに透過するため、においが移る場合があります。
MIZUNOMOデータベースで選ぶ備蓄候補3選
専用保存水:5年保存の富士山バナジウム天然水
アクアインターナショナルの「保存水」は富士山系を原水とする5年保存対応の天然水です。硬度43mg/L・pH7.7の軟水寄りの中程度のミネラル水で、バナジウム含有量は81μg/Lです(バナジウムは食事摂取基準に指標が設定されていない成分のため、含有量のデータとして参照してください)。長期備蓄には専用保存水が安心という方に向いています。
コスパ重視のローリングストック:EDRP 富士山の天然水
ドン・キホーテ等を運営するPPIHが2026年6月に発売したPBウォーター。500mL税込40円という低価格設計は、大量購入が必要な備蓄用途でコスト負担を抑えます。成分情報(pH・硬度)は公式未公表ですが、富士山系の天然水として食品衛生法の基準を満たしています。普段飲みの代替として備蓄するローリングストックに向いています。
定番の国産軟水:サントリー天然水(南アルプス)
硬度30mg/L・pH7.1のサントリー天然水(南アルプス)は、流通量が多く近所のコンビニ・スーパーで手に入りやすい定番品です。流通量が安定しているため災害時に品薄になりにくく、ローリングストックの基幹として使いやすい点が利点です。
お盆前に買い揃える:備蓄チェックリスト
お盆休みに向けて物流が集中する前に備蓄を整えることをお勧めします。
- 家族人数 × 3〜7日分(1人1日3L)を計算して本数を確認
- 保管場所(涼しく暗い・揮発物から離れた場所)を確保
- 賞味期限を確認して古いものから使い切る
- ポリタンクなどに生活用水(トイレ・洗い物)も確保
- 断水情報は地域のハザードマップと自治体アプリで確認
まとめ:台風に備える水の選び方
2026年8月は台風の接近が例年より多い見込みです。断水が起きても1週間程度を乗り切れる備蓄を整えておくことが、台風対策のなかで最も優先度が高い準備の一つです。
専用保存水と通常の天然水のどちらが正解かは、管理のしやすさや予算によって異なります。日常使いの天然水をローリングストックするアプローチなら、費用を抑えながら「期限切れゼロ」の備蓄習慣が作れます。
MIZUNOMOのデータベースには70種以上のミネラルウォーターの硬度・pH・ミネラル成分が掲載されています。普段飲みと備蓄を兼ねる1本を探す際の参考にしてください。
参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
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