ペットボトル水のリサイクルに義務化の波——改正資源有効利用促進法施行とボトルtoボトル37.7%の現在地

2026年4月1日、改正資源有効利用促進法が全面施行された。指定製品を扱う一定規模以上の事業者に対し、再生資源利用計画の策定と定期報告が法的義務となったのだ。それまで各社が「自主目標」として進めてきたサステナブル化に、法律上の計画・報告義務という枠組みが加わった節目から約5カ月が経過した現在、業界の最新動向を整理する。
ボトルtoボトルリサイクルとは?
「ボトルtoボトル(水平リサイクル)」とは、回収した使用済みPETボトルを原料として、再びPETボトルに戻す仕組みのこと。PETとしての物質循環が閉じるため、リサイクルの中で品質を最も保ちやすい手法とされる。
リサイクルには「繊維・シート・建材などに転用するカスケード型」と「同じ用途に戻す水平型」があり、ボトルtoボトルは後者の代表格。食品用途に戻すために高い衛生基準が求められる分、再生素材の価値が高く、素材の需要も伸びている。
2024年度最新統計:リサイクル率85.1%、ボトルtoボトルは37.7%
PETボトルリサイクル推進協議会・全国清涼飲料連合会が2025年11月に発刊した「PETボトルリサイクル年次報告書2025」によると、2024年度の主要指標は以下のとおりだ(対象:指定PETボトル)。
| 指標 | 2024年度 | 前年(2023年度) |
|---|---|---|
| 回収率 | 91.9% | — |
| リサイクル率 | 85.1% | 85.0% |
| 有効利用率 | 98.6% | — |
| ボトルtoボトル比率 | 37.7% | 33.7% |
| 軽量化率 | 28.1% | 28.4% |
| 販売量 | 652千トン | — |
| 回収量 | 600千トン | — |
業界が定めた自主行動計画目標「リサイクル率85%以上維持」は2023年度から2年連続で達成。ボトルtoボトル比率は2020年度(15.7%)から22ポイント増と急拡大しており(5年間で約2.4倍の水準)、各社の設備投資と回収インフラ整備が数字に表れている。

改正資源有効利用促進法(2026年4月1日全面施行)の主なポイント
従来の資源有効利用促進法が2026年4月に大幅改正された。法律の4つの新たな柱のうち、飲料ペットボトル業界に直接関わるのは主に次の2点だ。
① 再生資源利用計画の策定・報告義務化
指定製品を扱う一定規模以上の事業者は、リサイクル素材使用量の計画を策定し、定期的に報告する義務が生じた。法が直接義務付けるのは計画策定と報告であり、使用そのものを一律に命じるものではないが、計画の開示と横断的な進捗管理を通じて、業界全体の実態把握と底上げが期待されている。
飲料用PETボトルはこの「指定製品」に含まれる。 資源有効利用促進法施行令 第四条第二項第一号は「プラスチック製容器包装」を指定脱炭素化再生資源利用促進製品と定め、その範囲を定める省令(令和8年4月1日施行)第二条は、飲食料品の容器包装を対象から除外しつつ、そこからさらに「飲料…であってポリエチレンテレフタレート製の容器に充塡されたもの」を除く——つまり飲料が充填されたPET容器は対象に残る構造になっている。一方で、同条はPET容器の栓・ふた・キャップと側部に貼るラベルを対象から外している。
対象事業者の規模要件は同施行令 第十六条が定めており、プラスチック製容器包装ではその事業年度の生産量(事業の用に供するために発注して製造したものを含む)または自ら輸入したものの販売量が1万トン以上(品目と重量は同条第一号)の場合、計画作成の対象となる。
② 優良環境配慮設計認定制度の創設
ボトルtoボトルに適した設計(着色剤の排除・ラベルの剥がしやすさ・キャップ素材の統一など)を「優良設計」として認定する制度が新設された。設計段階からリサイクル適性を高める取り組みを評価する仕組みで、業界全体の設計標準化につながる。
飲料各社の2030年目標と現在地
コカ・コーラシステム(い・ろ・は・す)
コカ・コーラシステムは2019年7月、「2030年までにボトルtoボトル比率を90%まで引き上げ、全PETボトルの原料を100%サステナブル素材に切り替える」目標を公表した。「い・ろ・は・す 天然水 555ml」は2020年3月に100%リサイクルPETボトルを導入し、水平リサイクルを先行実践したブランドとして知られている。
サントリーグループ
2030年に全PETボトルを「リサイクル素材 + 植物由来バイオPET」の合計100%に切り替える目標を掲げている。「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」「クラフトボス」「伊右衛門」などに100%リサイクルPETボトルを順次導入しており、天然水ブランドも段階的に移行が進んでいる。
アサヒ飲料
2030年にPETボトルを100%リサイクル素材またはバイオ由来の素材などへ切り替える目標を掲げており、段階的な導入計画を開示している(同社公式サステナビリティ情報参照)。
キリンビバレッジ
国内のPETボトルへのリサイクル樹脂使用比率を2027年までに50%とする目標をキリングループのプラスチックポリシーに定めており、さらに2050年に容器包装の100%持続可能素材化を計画している。コカ・コーラ・サントリー・アサヒが2030年に100%を目指すのに対し、キリンは2027年の国内中間目標(50%)を経て2050年の完全移行を計画するロードマップを採用している。
消費者の「正しい分別」が支える91.9%の回収率
ボトルtoボトルが成立する前提は、消費者による正しい分別だ。2024年度の回収率91.9%(回収量600千トン)は世界的にも高い水準を維持しており、これが再生原料の安定調達を支えている。
分別の基本3ステップ:
- 中身をしっかり飲みきる(残留物はリサイクル品質を低下させる)
- ラベルをはがし、キャップを外す(多くの自治体でラベル・キャップはプラスチック類などの別区分)
- 軽くすすいで分別ボックスや資源回収日に出す
ラベルをはがす手間がボトルtoボトル比率の向上に直結している。国内での年間回収量600千トンは、飲料各社が2030年目標を達成するための原料基盤でもある。
まとめ
2026年4月施行の改正資源有効利用促進法は、指定製品を扱う一定規模以上の事業者に再生資源利用計画の策定と定期報告を義務付け、これまで自主目標にとどまっていたサステナブル化に法的な計画・報告義務の枠組みを加えた。最新の2024年度統計ではボトルtoボトル比率37.7%(2020年度比22ポイント増)・リサイクル率85.1%を記録し、5年間の積み重ねが数字として表れている。各社が掲げるサステナブル化の目標(コカ・コーラ・サントリー・アサヒは2030年100%、キリンは2027年国内50%を中間目標に2050年100%)に向けて、義務化という追い風が加わった局面だ。
MIZUNOMO では成分・硬度データと並行して、環境・リサイクルの観点からもペットボトル水業界の動向を継続的に注目していく。
参考情報
- e-Gov法令検索「資源の有効な利用の促進に関する法律施行令」(第四条第二項第一号=指定製品/第十六条=生産量・販売量の要件)
- e-Gov法令検索「資源の有効な利用の促進に関する法律施行令第四条第二項第一号に規定するプラスチック製容器包装に関する省令」(令和8年4月1日施行)
- 参議院「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」議案要旨(第217回国会)
- 全国清涼飲料連合会「PETボトルリサイクル年次報告書2025」発刊のお知らせ(2025年11月)
- DOWA エコジャーナル「改正『資源有効利用促進法』が施行されました」(2026年6月)
- 日本コカ・コーラ プレスリリース「100%リサイクルPETボトル い・ろ・は・す 天然水 全国発売」(2020年3月)
- サントリーグループ「ボトルtoボトル水平リサイクルの推進」
- アサヒ飲料「2030年に向けた目標設定」
- キリンホールディングス「容器包装の取り組み」
- MIZUNOMO ミネラルウォーター一覧
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
プロフィール: iihito.jp ↗


