ヘラルボニー×サントリー天然水コラボ——採水地に触れたアーティストが生んだ7種のラベルと「水の日」写真展
2026年8月1日は「水の日」です。水循環基本法(平成26年制定)が定めるこの日を前に、東京・麻布台ヒルズでは採水地の自然を記録した写真展が開催され、全国の店頭には障害のある作家が北アルプスの採水地を自ら訪れて描いた7種のアートラベルをまとったサントリー天然水が並んでいます。

「水の科学」と「アートと社会包摂」——一見交わらない世界が天然水を媒介に交差する。2026年夏の天然水業界の動きを読み解きます。
8月1日は「水の日」——その由来と意義
毎年8月1日は「水の日」として制定されています。2014年(平成26年)に施行された水循環基本法の規定に基づき、8月1日から8月7日が「水の週間」とされ、国民の水循環への理解と関心を深めるための普及啓発活動が全国で行われます。
国土交通省・環境省・農林水産省・厚生労働省が連携して取り組むこの週間では、水源地の見学、子ども向けの水実験教室、全国の施設をブルーにライトアップするイベントなど、多様な形で水の大切さを訴える活動が展開されます。
日本に降る年間降水量は約1,668mmと世界平均の約2倍ですが、急峻な地形により海に流れ出る分が多く、実際に利用できる一人あたり水資源量は世界平均の約3分の1程度です。地下水として蓄えられ、やがてペットボトルに詰められて届く水の旅路を再認識する——「水の日」はそのきっかけとして機能しています。
麻布台ヒルズの「水の日の写真展」——J-WAVEとサントリー天然水が記録した4採水地の旅
「水の日の写真展 それぞれの人生 それぞれの山」が、2026年7月30日(木)〜8月2日(日)、東京・麻布台ヒルズ ヒルズアリーナ・ヒルズカフェで開催中です(入場無料、一部グッズ販売あり)。
サントリー天然水とJ-WAVEの人気ラジオ番組「GURU GURU!」のコラボレーション企画として実現したこの写真展では、4組のナビゲーターが「水の山」——南アルプス・北アルプス・奥大山・阿蘇——をそれぞれ実際に訪れ、その体験を写真と言葉で記録しています。
主な展示・体験の内容は以下のとおりです。
- 4水源の写真展示——採水地の自然景観と水が生まれる環境の様子
- 4水源のテイスティング体験——各採水地の天然水をその場で飲み比べ
- 「水色のトラック」展示——サントリー天然水のCMでも知られる水色のトラックの実物
- ヘラルボニーとのぬり絵ワークショップ(8月1日〜2日、11:00〜18:00)
特に注目したいのがワークショップです。「水の日」当日の8月1日から、今回のコラボレーション商品のベースとなったアートのぬり絵を体験できるプログラムが予定されています。水という自然の恵みとアートが交差する場を、来場者自身が体験する設計になっています。
サントリー天然水の4採水地——同じブランドでも硬度に4倍の差が生まれる理由
写真展の主役でもある4採水地のデータを整理します。同じ「サントリー天然水」というブランド名を冠しながら、地質が異なれば水の成分はまったく異なります。
| 採水地 | 都道府県 | 硬度 | pH | カルシウム | マグネシウム | 地質の特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 南アルプス | 山梨県 | 30mg/L | 7.1 | 9.7mg/L | 1.5mg/L | 花崗岩層(地下約200m) |
| 北アルプス | 長野県 | 38mg/L | 7.1 | 7.2mg/L | 2.8mg/L | 花崗岩層(地下約150m) |
| 奥大山 | 鳥取県 | 20mg/L | 6.9 | 4.8mg/L | 1.8mg/L | 火山岩深層地下水(地下約100m) |
| 阿蘇 | 熊本県 | 80mg/L | 7.3 | 22mg/L | 6.5mg/L | カルデラ地下水(地下約100m) |
(硬度 = Ca×2.497 + Mg×4.118 の算出式による。数値はMIZUNOMO水データベースより)
奥大山(硬度20mg/L)と阿蘇(硬度80mg/L)の間には4倍の開きがあります。この差は、それぞれの地質が水に与える影響の違いによるものです。
奥大山(鳥取県)は大山国立公園に位置する火山岩由来の超軟水。大山(だいせん)は約100万年前から活動した成層火山で、その火山岩が形成した多孔質の地層は、浸透する水からミネラルをほとんど溶かし込まないまま地下水として蓄えます。Ca4.8mg/L・Mg1.8mg/Lという極めて低い値はこの地質の純粋な反映です。
阿蘇(熊本県)は世界最大規模のカルデラを擁する阿蘇火山の地下水。火砕堆積物・凝灰岩・石灰岩を含むカルデラの地質は、雨水がCaとMgを溶かし込みやすい環境を作り出しています。Ca22mg/L・Mg6.5mg/Lは、同じブランドの南アルプス産(Ca9.7mg/L・Mg1.5mg/L)に比べてそれぞれ2.3倍・4.3倍の値を示しています。
今回のコラボの主舞台・北アルプス「信濃の森工場」
今回のコラボレーションでアーティスト・小林覚氏が実際に訪れたのが、「サントリー天然水 北アルプス 信濃の森工場」(長野県)です。
北アルプスは標高3,000m級の山々が連なる花崗岩地帯。厳冬期に積もった雪が春から夏にかけて融け、地下約150mまで浸透しながら花崗岩の結晶の間をゆっくりと通過していきます。花崗岩はミネラルを溶かし出しにくい岩種であるため、硬度38mg/L・pH7.1という数値は地質の性質をそのまま写し取ったものです。
ヘラルボニーとは——「異彩を、放て。」のミッション
今回のコラボの主役、株式会社ヘラルボニー(岩手県盛岡市)について説明します。
2018年に双子の松田崇弥・文登兄弟が設立したこのクリエイティブ会社は、知的障害のある作家とライセンス契約を結び、そのアート作品を「知的財産(IP)」として企業コラボや自社ブランド展開に活用するビジネスモデルを構築しています。
「ヘラルボニー」という社名は、知的障害のある長兄が幼少期に作った意味不明の造語に由来します。ミッションは「異彩を、放て。」——主流とは異なる個性を価値として社会に流通させることを目指す姿勢が、この言葉に凝縮されています。

アーティストと福祉施設に正当なロイヤリティが支払われる仕組みを整備した点がヘラルボニーの特筆すべき点です。アートを「慈善」としてではなく「知的財産」として扱うことで、アーティストが社会の中で創作活動を継続できる環境を整えています。
7種のラベルが生まれるまで——2人のアーティストと採水地の物語
今回のコラボは、2人の作家による全7種のラベルで構成されています。
小林覚氏(こばやしさとる)が担当した「サントリー天然水 ヘラルボニーアートラベル」(550ml)には3種のデザインが採用されています。「南アルプス」「北アルプス」「奥大山 阿蘇 ふるさと」をそれぞれテーマにした作品です。小林氏は制作にあたって北アルプスの信濃の森工場を実際に訪問。標高3,000m級の山々が連なる採水地の空気を肌で感じた体験が、色彩豊かな筆致に転換されています。
水上詩楽氏(みずかみしら)が担当した「サントリー天然水 SPARKLING ヘラルボニーアートラベル」には4種のデザインが採用されています。
数十年単位の時間をかけて地層を浸透してきた水の旅路と、アーティストが採水地の現場に立ってキャンバスに向き合う体験——どちらも「時間と場所が育むもの」という点で共鳴しています。
なお、コラボキャンペーン(抽選でオリジナルスタジャンまたはウォーターボトルが当たる)の応募受付は2026年7月31日(本日)23:59をもって終了します。商品自体は数量がなくなるまで販売が継続されます。
採水地の「個性」とアートの「個性」が重なる場所
4採水地のデータを改めて見渡すと、一つの視点が浮かび上がります。
奥大山の超軟水(硬度20mg/L)、南アルプスのまろやかな超軟水(30mg/L)、北アルプスのやや個性的な超軟水(38mg/L)、阿蘇の相対的に豊かなミネラル(80mg/L)——同じ「天然水」というカテゴリーに入りながら、地質の差によって成分・味わい・用途適性がまったく異なります。
これはヘラルボニーが発信する「異彩を、放て。」というメッセージとも重なります。知的障害のある作家が生み出す作品は、標準化された尺度では「異彩」に映ることもあります。しかしその固有の個性こそが、見る人に新しい視点をもたらします。採水地が生み出す「水の個性(地質由来の多様性)」とアーティストが持つ「表現の個性」を一本のボトルの上で交差させた今回のコラボレーションは、単なる限定商品を超えたメッセージ性を帯びています。
MIZUNOMOでサントリー天然水4採水地を比べる
MIZUNOMOの水データベースでは、4採水地の硬度・pH・ミネラル成分を数値で比較できます。
各商品ページでは、硬度算出式(Ca×2.497 + Mg×4.118)に基づいて検証したデータと、採水地の地質科学を解説しています。「水の日」(8月1日)を前に、自分が普段飲んでいる水の採水地を改めて調べてみるのも一つの楽しみ方です。
参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
プロフィール: iihito.jp ↗

