「酷暑日」40℃が来る2026年夏——汗で失うナトリウムと、ペットボトル水の「Na量」を比べてみた

2026年6月、気象庁はこの夏の3か月予報を発表した。エルニーニョ現象の発生確率が90%に達するなか、6月から8月にかけて全国的に平年を上回る高温が続く見通しだ。それだけではない——今年の夏から、私たちは新しい言葉を覚えなければならない。「酷暑日」。最高気温40℃以上の日に対して、気象庁が2026年4月に正式制定した新予報用語だ。
「猛暑日(35℃以上)はあるから、40℃になってもそこまで変わらないのでは?」と思うかもしれない。ところが体の水分管理という観点では、35℃と40℃の間には想像以上の大きな差がある。そしてその差を理解することが、ペットボトル水の選び方を変えることに直結する。
「夏日」「真夏日」「猛暑日」——そして「酷暑日」
気象庁の予報用語は長年、最高気温に応じて段階的に区分されてきた。
| 予報用語 | 最高気温 |
|---|---|
| 夏日 | 25℃以上 |
| 真夏日 | 30℃以上 |
| 猛暑日 | 35℃以上 |
| 酷暑日(2026年新設) | 40℃以上 |
40℃超えの日が近年急増していたにもかかわらず、対応する名称がなかった。気象庁は2026年2〜3月に「極暑日」「超猛暑日」など13候補を挙げてアンケートを実施。約47万8千票のうち最多の約20万2千票を集めた「酷暑日」が2026年4月17日に正式採用され、今シーズンから天気予報で使われ始めた。
2026年夏は、全国の延べ7〜14地点で酷暑日が観測される見込みだという。これは単なる統計の話ではなく、日本中のどこかで毎日のように40℃超えが記録される可能性を意味する。
35℃と40℃、体の「熱の逃がし方」がまったく違う
なぜ5℃の差が大問題になるのか。それは人体の体温調節のしくみにある。
人間の深部体温は37℃前後に維持されている。外気温が上がると、体は「発汗による蒸発冷却」でこれを守ろうとする。ここで重要なのが「外気温と体温の差」だ。
- 外気温35℃(猛暑日):体温37℃との差は+2℃。汗の蒸発で何とか冷やせる
- 外気温40℃(酷暑日):体温37℃との差は−3℃。外気が体温より高く、外からも熱が体に入ってくる
外気温が体温を超えると、体は「蒸発」によってしか体温を下げられなくなる。つまり酷暑日には猛暑日の何倍もの発汗が強いられる。日陰での軽作業でも1時間あたり1〜2Lの汗をかくケースがあり、激しい屋外活動では3L/時間を超えることもある。
汗1Lに「ナトリウム500〜1,000mg」——水だけ飲み続けると起きること

発汗で失われるのは水分だけではない。汗にはナトリウム(塩分)が含まれている。
汗の塩分濃度はおよそ0.05〜0.1%。1リットルの汗に含まれるナトリウムは約500〜1,000mgに相当する(個人差・暑熱順化の程度による)。
問題は、水分補給として手に取るペットボトル天然水のナトリウム含有量と、この損失量の間に大きな乖離があることだ。以下のデータを見てほしい。
ペットボトル天然水 ナトリウム含有量 比較
| 商品名 | Na含有量(mg/L) | 硬度(mg/L) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| サントリー天然水(南アルプス) | 6.5 | 30 | 国内最多販売・超軟水 |
| い・ろ・は・す(白州) | 11.0 | 27 | コンビニ定番・超軟水 |
| サントリー天然水(阿蘇) | 11.0 | 80 | 九州産・中軟水 |
| クリスタルガイザー | 11.3 | 38 | 米国産・日常飲み |
| エビアン | 7.0 | 304 | フランス産硬水 |
| おいしい水 六甲(アサヒ) | 29.0 | 58 | 六甲山系・やや高め |
| 温泉水99 | 52.9 | 1.7 | 鹿児島温泉水・高ナトリウム |
| エミネラス | 80.0 | 87.6 | 奈良天然温泉水・最高クラス |
日常的によく飲まれている天然水の多くは、ナトリウム5〜15mg/L程度だ。これは汗1Lに含まれる500〜1,000mgのナトリウムに対して、30〜200分の1以下にすぎない。
「じゃあ天然水は役に立たないの?」というと、そうではない。水分補給そのものは必須だ。しかし酷暑日のような大量発汗下で水だけを何リットルも飲み続けると、血液中のナトリウム濃度が薄まる「低ナトリウム血症」を引き起こすリスクがある。筋肉のけいれん、頭痛、重症化すると意識障害にもつながるため、医師が「酷暑日には水だけでは不十分」と警告するのはこのためだ。
ナトリウムを多く含む天然水という選択肢
市販のペットボトル水の中には、ナトリウムを比較的多く含む製品がある。代表例が温泉水系の商品だ。
温泉水99(ナトリウム52.9mg/L)は、鹿児島県垂水温泉の地下750mから47℃で湧出する天然温泉水。pH9.5の高アルカリ性で、カルシウム・マグネシウムは極めて少ない一方、ナトリウムが豊富という特徴を持つ。
エミネラス(ナトリウム80mg/L)は奈良県橿原市の地下240mから汲み上げた天然温泉水。炭酸水素イオン347.2mg/Lも含む高機能水で、国際的な味覚審査機関からも評価されている。
これらは普通の天然水の5〜15倍のナトリウムを含んでいるが、それでも汗の損失量(500〜1,000mg/L)には遠く及ばない。だからこそ、水だけで完結させようとするのではなく、食事・塩分食品との組み合わせが重要になる。
2026年「酷暑日」対応 水選び3パターン

パターン① 日常・室内・軽い外出
ナトリウム5〜15mg/Lの天然水 + 食事から塩分補給
ナトリウムは食事(みそ汁、漬物、梅干しなど)から十分補えるケースが多い。日常飲料には普通の天然水でかまわない。重要なのは「こまめに飲む習慣」を徹底すること。口が渇く前に飲む、がルール。
パターン② 屋外作業・スポーツ(30分以上)
ナトリウム20〜30mg/Lの水 または天然水+塩分補給食品の組み合わせ
1時間以上の屋外活動では発汗量が増す。「おいしい水 六甲」のようなナトリウムがやや高めの天然水を選ぶか、普通の天然水を飲みながら梅干し・塩タブレット・スポーツドリンクを1〜2本おきに挟む方法が有効だ。
パターン③ 酷暑日(40℃超え)の長時間屋外活動
ナトリウム50mg/L以上の水 または経口補水液を積極活用
大量発汗が続く状況では、ナトリウムの積極的な補給が必要になる。温泉水やエミネラスなどナトリウムが豊富な水を選ぶか、市販の経口補水液を組み合わせる。「もう少し我慢してから飲もう」は厳禁——渇きを感じた時点ですでに体重の1〜2%が失われており、判断力の低下が始まっている。
まとめ:「酷暑日」時代に水の成分データを読む意味
気象庁の「酷暑日」新用語は、単なる言葉の追加ではない。40℃超えの環境では体の熱ストレスが質的に変化し、これまでの猛暑日対策の延長では不十分になりうることを示している。
今夏の水分補給で押さえるべき3点:
- 汗1Lにはナトリウム500〜1,000mgが含まれる——水だけでは補えない
- 普通の天然水(Na 5〜15mg/L)は食事・塩分食品と組み合わせれば日常はOK
- 酷暑日や長時間屋外活動では、Na50mg/L以上の水か経口補水液を活用する
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参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
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