「凍らせてOK」の天然水が登場——サントリーが1年かけて開発した冷凍専用PETの科学と2026年酷暑での活用法

ペットボトルの飲料を冷凍庫に入れてはいけない——誰もがそう聞いたことがあるはずです。では、なぜいけないのでしょうか。そしてサントリー食品インターナショナルが2026年4月1日に発売した「サントリー天然水 冷凍PET」は、どのようにしてその常識を塗り替えたのでしょうか。ウェザーニューズがダブル高気圧による40℃超の酷暑を予測する2026年夏、この新技術の科学的背景と実用的な活用術を解説します。
なぜ普通のペットボトルを冷凍してはいけないのか
水は固体(氷)になるとき、液体のときより約9〜10%体積が膨張します。これは水の分子構造に起因する物理現象です。他の多くの液体とは異なり、水は凍るときに水分子が「六角形の結晶格子」を形成し、液体の状態より分子間の間隔が広がるためです。
この結果、500mlのペットボトルに満たされた水が完全に凍ると、約50mlの膨張分が生じます。環境配慮のために近年急速に軽量化が進んだ通常のPETボトルは、こうした内部圧力の増大に対応できる設計ではなく、以下のリスクが生じます。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 容器の変形・破損 | 底面や側面が押し出されて形状が変わる |
| 密封不全 | キャップの緩みにより再封後の衛生性が損なわれる |
| 破裂の危険 | 容器が脆化した場合や急激な温度変化時に生じるおそれがある |
サントリーのお客様センターには「天然水を冷凍できますか?」という問い合わせが年々増加し、2019年比で約2倍にのぼっていたといいます。消費者のニーズに対して、既存製品は「冷凍NG」という答えしか返せずにいました。
「サントリー天然水 冷凍PET」が実現した技術

サントリーはこの課題に向き合うため、約1年の開発期間をかけて「冷凍専用PETボトル」を設計しました。2026年4月1日発売、容量500ml・希望小売価格180円(税別)です。
膨張吸収設計
新容器は、凍ったときの体積増加を吸収できる特殊形状を採用しています。ボトルの底部や側面の構造を工夫し、内部圧力が高まったときに適切に変形できる設計としながらも、解凍後に元のシルエットに戻ることを意図して作られています。
「濃紺のキャップ」で一目で識別
通常の「サントリー天然水」(白・赤系キャップ)と区別するため、冷凍PETは濃紺のキャップを採用しています。一般品を誤って冷凍するトラブルを防ぎながら、雪解け水を思わせる冷涼なブランドイメージをキャップとラベルで表現しています。
2026年夏の酷暑で活躍する3つのシーン

ウェザーニューズの「猛暑見解2026」によれば、今夏はダブル高気圧(太平洋高気圧とチベット高気圧の重なり)が発生し、7月下旬〜8月上旬には内陸部で40℃を超える酷暑日が予測されています。こうした環境下で冷凍PETが力を発揮する場面は大きく3つです。
1. 長時間冷たく飲み続ける飲料として
凍らせた冷凍PETは、半解凍の状態で持ち歩くと冷え冷えの水が長続きします。炎天下の通勤・通学や屋外スポーツなど、時間をかけて水分補給するシーンで効果的です。通常のボトルに常温水を入れて持ち歩く場合と比べ、冷却維持時間が大きく延びます。
2. タオルに包んで体外から冷やす
タオルや布に包んで首すじ・脇の下・鼠径部(太ももの付け根)に当てることで、太い血管が通る部位を冷やす体外冷却ができます。従来は保冷剤や氷のうを別途用意する必要がありましたが、凍らせた天然水なら解けた後そのまま飲料として使えます。重くなりすぎない500mlサイズも持ち運びに適しています。
3. 防災備蓄の保冷剤として活用する
凍らせたペットボトルは冷蔵庫の保冷剤代わりにもなります。停電時に庫内に入れておくと温度低下を遅らせる効果があり、解凍後はそのまま飲料水として使えます。「水の備蓄」と「冷却機能」を1本で兼ねられる点が、防災用品としても注目されています。
冷凍PETで使われる天然水の素性
「サントリー天然水 冷凍PET」に使われる水は、通常の「サントリー天然水」と同じ水源から採水されています。サントリーは南アルプス(白州)、北アルプス、奥大山、阿蘇の4拠点から採水しており、いずれも地層を通じて自然にろ過されたナチュラルミネラルウォーターです。
代表的な南アルプス採水の「サントリー天然水(南アルプス)」は硬度約30mg/L・pH7.1の軟水で、まろやかな口当たりが特長。「飲みやすい軟水の天然水」を凍らせてそのまま使えるようになったことが、今回の製品の本質的な価値と言えます。
MIZUNOMOには各採水地の成分データ(pH・硬度・カルシウム・マグネシウム・シリカ等)が掲載されており、採水地ごとの味の違いを数値で比較することができます。
参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
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