丹沢産アルミ缶天然水が5周年刷新——ペットボトルでもマイボトルでもない「第三の選択肢」の実力

「ペットボトルでもなく、マイボトルでもない」——そんな独自のポジションを掲げるアルミ缶天然水が、5周年を機に刷新を打ち出した。神奈川県・丹沢水系から採水するアルミボトル缶入り天然水「NATURAL MINERAL WATER」(Justice)が、2026年4月に全4品のパッケージデザインをリニューアル。同年7月24日に株式会社UPDATERがプレスリリースを発表し、7月25日から8月24日まで下北沢の「みんな商店」で新パッケージの展示・店頭販売イベントが行われている。
容量・ラベルでの差別化競争が加速するミネラルウォーター市場で、「容器そのものを変える」というアプローチが問いかけるものを、成分データとリサイクルの数字から読み解く。
アルミボトル缶入り天然水「NATURAL MINERAL WATER」とは
「NATURAL MINERAL WATER」(ナチュラルミネラルウォーター)は、神奈川県足柄上郡山北町・丹沢水系を水源とする天然水(ナチュラルミネラルウォーター)をアルミボトル缶に充填した商品だ。製造はFSSC22000認証取得工場が担い、5年にわたり「環境配慮型水ボトル」を訴求してきた。現行ラインナップは以下の4品。
| 商品 | 容量 | 賞味期間 |
|---|---|---|
| 天然水 | 490ml | 35ヵ月(2年11ヵ月) |
| 天然水 | 290ml | 35ヵ月 |
| スパークリングウォーター | 290ml | 14ヵ月 |
| グリーンティー | 290ml | 17ヵ月 |
天然水2品はMIZUNOMOのデータベースにも掲載している(炭酸水・緑茶はDB対象外)。
丹沢の水質データ:成分と採水地の地質
MIZUNOMOに登録されているこの水の成分は下表の通りだ。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 硬度 | 75 mg/L |
| pH | 7.9 |
| カルシウム | 19.0 mg/L |
| マグネシウム | 6.8 mg/L |
| カリウム | 2.0 mg/L |
硬度75 mg/LはUSGS(米国地質調査所)が示す硬度分類(0〜60 mg/L=軟水、61〜120 mg/L=中程度)では「中程度」に相当する。国産の人気ブランドと比べると、サントリー天然水(南アルプス産、硬度約30 mg/L)より硬く、エビアン(304 mg/L)やコントレックス(1468 mg/L)の硬水・超硬水とは大きく異なる。国産天然水のなかでは少し骨格のある口あたりといえる。
採水地の丹沢山地は神奈川県北西部に位置する関東最大の山岳地帯。標高1,500m超の深い森林が長年にわたって雨水を濾過し、地下水として貯留する。古生代から新生代にかけての複雑な地質構造を持つが、火山性ミネラル(バナジウムなど)の影響は限定的で、カルシウムとマグネシウムのバランスが比較的均衡した国産天然水が生まれる。pH7.9はやや弱アルカリ寄りで、奥秩父や箱根の天然水に近い成分プロファイルだ。
アルミ缶の環境データ:なぜ「リサイクルに強い素材」か
天然水ブランドが「ペットボトルではなくアルミ缶」を選ぶ理由の核心は、材料のリサイクル効率にある。
一般社団法人アルミ缶リサイクル協会の公表データによると、2024年度の日本国内アルミ缶リサイクル率は99.8%、CAN to CAN率——回収されたアルミ缶が再び飲料缶として生まれ変わる比率——は75.7%で過去最高を更新した。一方、同協会が公開する2025年度事業活動計画では、2025年度のリサイクル率は94.7%、CAN to CAN率は74.6%とされている。単年度のピークだけでなく、最新値の変動も含めて見る必要がある。
さらに、リサイクル時のエネルギー消費も容器素材を考えるうえで重要な比較材料だ。一般社団法人日本アルミニウム協会は、リサイクル地金のエネルギー消費量を新地金と比較して約3%に抑えられると説明している。アルミは水平リサイクルに向き、回収・分別が機能すると同じ飲料缶の材料として循環させやすい。

アルミ缶リサイクル協会の2025年度事業活動計画では、ボトル缶入りミネラルウォーター類の需要が前年比約130%と好調だったことも示されており、アルミ缶水は小さなカテゴリながら着実に存在感を高めている。
長期保存性:アルミ缶が持つもうひとつの強み
アルミ缶が水容器として持つ実用上の特徴として、高いガスバリア性がある。透明なペットボトルは光や微量の気体が透過するため、開封前でも長期保存で風味に変化が生じる場合がある。一方アルミ缶は光を遮り、充填後の成分変化を抑えやすい。
このため「NATURAL MINERAL WATER」490ml品の賞味期間は35ヵ月(約3年)と、一般的なペットボトル天然水(多くは製造後2年前後)より長い。水の備蓄・防災用途でアルミ缶が選ばれる理由の一つがここにある。
ガラス瓶からペットボトル、そしてアルミ缶へ
日本の飲料容器は、かつてガラス瓶が主流だった時代から1980〜90年代にペットボトルが急速に普及し、「軽量・低コスト・透明」という利便性で市場を席巻した。その後、マイクロプラスチック問題や資源循環への関心が高まるなか、代替容器を模索する動きが続いている。

アルミ缶ミネラルウォーターは日本では長らくニッチな存在だったが、2021年頃からブランドが少しずつ増加。ロッテ「THE DAY」のような大手の参入例も出てきており、NATURAL MINERAL WATERはこのカテゴリの先駆け的存在として5年間市場を積み上げてきた。
「第三の選択肢」が整理する消費者の選択肢
ブランドが掲げる「ペットボトルでもなく、マイボトルでもない」という表現は、現代の水との関わり方を3つに整理している。
- ペットボトル水:いつでも手軽に入手できるが、使い切りのため廃棄が生じる
- マイボトル(個人の持ち歩き容器):繰り返し使用できるが、外出先での補充インフラが前提
- アルミ缶水:使い切りながらリサイクル効率が高く、かつ長期保存が可能
この3つは、それぞれ異なるニーズや行動パターンの消費者に対応している。アルミ缶は「使い切りではあるが、材料循環の観点でも検討できる」というポジションを担う。
2026年夏の市場文脈
2025年の日本ミネラルウォーター市場は販売金額5,057億円で過去最高を記録した(一般社団法人日本ミネラルウォーター協会、2026年3月30日発表)。各社がペットボトルの容量・ラベル・環境対応で差別化を競うなか、「容器そのもの」を変えるアプローチはニッチながら明確な方向性を持つ。
MIZUNOMOでは丹沢産の天然水を含む70種以上のミネラルウォーターの硬度・pH・ミネラル成分データを掲載している。水の成分比較と合わせて、選ぶ水の容器素材にも目を向けてみると、より立体的な水選びができるかもしれない。
参考情報
監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)
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