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水ニュースミネラルウォーター市場動向販売金額日本ミネラルウォーター協会猛暑国産天然水値上げ

5,057億円・過去最高のミネラルウォーター市場——「数量減・金額増」の正体と2026年夏の見通し

MIZUNOMO編集部公開 2026年7月10日更新 2026年8月14日読了時間 7

国内のミネラルウォーター市場がまた記録を更新した。一般社団法人日本ミネラルウォーター協会が2026年4月に公表した最新統計によると、2025年の国内ミネラルウォーター類の販売金額は5,057億円(前年比103.1%)で、金額ベースの過去最高を更新した。しかし同じ統計で、生産量は前年比96.7%と6年ぶりの減少を記録している。「量は減ったのに売上は過去最高」——この一見矛盾した数字が示す市場の構造変化と、猛暑が続く2026年夏の展望を読み解く。

2025年統計の全体像——「数量減・金額増」の実態

国内ミネラルウォーター市場の統計と販売動向

日本ミネラルウォーター協会が公表した2025年の国内ミネラルウォーター類のデータは次のとおりだ。

指標2025年実績前年比
国内生産量486万1,884キロリットル96.7%(6年ぶり減)
輸入量11万8,924キロリットル96.1%
合計数量498万808キロリットル96.7%
販売金額(国内生産)4,954億1,400万円103.3%
販売金額(輸入)103億2,100万円92.8%
販売金額(合計)5,057億円103.1%(過去最高)

生産・輸入を合わせた総数量は約3.3%減少した一方、販売金額は3.1%増えて過去最高となった。国内生産の金額が輸入を大きく上回る一方、輸入の金額は9割を割り込んだ点も特徴的だ。

数量については、2024年に初めて500万キロリットルの大台を超えた協会統計が、翌2025年には再びその水準を割り込んだ形になる。ただし協会は「複数の大手メーカーで生産数量の顕著な減少があった」としつつ、「大幅に生産数量を増やしたメーカーもあり、国内総需要が急減したわけではない」とも分析している。市場全体の縮小というより、メーカー間・商品間での需要シフトを反映した数字と見るのが妥当だ。

この統計が何をカバーしているかに注意

数字を読む前に、統計のスコープを確認しておきたい。これは日本ミネラルウォーター協会の「ミネラルウォーター類」統計であって、ペットボトル水だけを切り出したものではない。

さらに、コンビニ・スーパーのPB(プライベートブランド)製品の一部は協会統計に含まれない。食品産業新聞の報道によれば、PBを含めた市場全体の国内生産数量は伸長しているとみられている。つまり協会統計上の数量減少を「ペットボトル水市場全体が縮んだ」と単純に読み替えることはできない。低価格PBが伸びている局面では、統計に載る数量と実際に流通した数量の差はむしろ広がる。

なぜ数量が減ったのか——値上げと買い控えの構図

数量が6年ぶりに減少した最大の要因は、各社の値上げだ。2024〜2025年にかけて、原材料費・エネルギーコスト・輸送費の上昇を受けた多くのメーカーが製品価格を改定した。協会データも「値上げした会社が多く、買い控えにつながったことも減少の一因」と明記している。

コスト側の内訳はおおむね3つに整理できる。

  • PET樹脂コストの上昇 — 容器に使う石油由来プラスチックの原材料費増
  • 円安水準の定着 — 米連邦準備制度理事会(FRB)の年平均レート(G.5A)では、USD/JPY は2024年が151.46円、2025年が149.57円。前年からさらに円安が進んだわけではないが、150円前後という水準そのものが定着し、輸入原材料コストが高止まりした
  • 物流・人件費 — ドライバー不足と燃料費上昇が輸送コストを押し上げた

これに伴い消費者の一部に買い控えが発生した。特に2Lなどの大容量商品を中心に購買頻度が下がったとみられており、数量を牽引してきた「まとめ買い・定期購入」層の一部が節約行動に転じた。

「安くて大量に」から「必要な分を選んで」という消費スタイルへの移行は、同時に1本あたりの付加価値へのシフトでもある。総務省の小売物価統計調査によると、ミネラルウォーター(調査対象は2,000mL入りペットボトル)の全国平均価格は2026年5月時点で126円。2025年9〜11月の130〜131円からはやや落ち着いたものの、数年前の水準からは切り上がったままだ。

補足: この126円は2Lボトル1本の価格であって、500mLの価格ではない。小売物価統計調査はミネラルウォーターを2,000mL入りで調査している。500mLの店頭価格と混同されやすい数字なので注意したい。

10本買っていた消費者が9本に減らしても、1本あたりの単価が上がれば販売金額は維持できる——この構造が、2025年市場を「量↓・金額↑」という逆行現象として表面化させた。

それでも金額が最高になった理由——「選んで飲む」消費の台頭

数量が減っても金額が増えた背景には、単純な値上げ効果だけでなく、消費の質的変化も作用している。

ペットボトル水は「水道水の代替品」から、「採水地・成分・硬度にこだわって選ぶ飲料」へと立ち位置が変わりつつある。硬度・pH・ミネラル含有量を比較して購入する消費者が増えた結果、1本あたりの単価が高くても売れる商品が増え、市場全体の平均単価を押し上げている。

国内生産の金額が103.3%と国産勢が金額面で伸びている一方、輸入は92.8%と縮小した。この非対称は後述する(→「輸入水はどうなったか」)。

猛暑が需要を下支え——2025年は東京で真夏日87日

夏の屋外での水分補給と猛暑イメージ

数量減少を最小限に抑えた要因として、連続する猛暑の存在を忘れてはならない。2025年夏、東京の真夏日(最高気温30℃以上)は9月末時点で87日に達し、屋外での水分補給需要が市場の底上げに貢献した。

環境省は2026年度も4月22日から10月21日まで「熱中症警戒アラート」の運用を継続。2026年7月2日にはすでに東京都を対象とした第1号の発令があった。気候変動による夏の長期化・高温化はミネラルウォーター市場にとって構造的な需要源であり続けている。

「数量から価値へ」——各社が2026年夏に仕掛ける戦略

市場全体が価値競争にシフトするなかで、各社はどう差別化を図っているのか。値上げ局面で効いているのは、値引きではなく「同じ水を、どの容器・どの容量で売るか」の設計変更だ。

サントリー食品インターナショナルは2026年3月、「サントリー天然水」の375mlペットボトルを新発売した。「550mlでは余ってしまう」「カバンに入れるにはかさばる」という声に応えたスリムな飲みきりサイズで、容量を「大小の差」ではなく「使い方の違いへの対応」として訴求している。

同社が容量設計で成果を出した先例が1Lボトルだ。2024年5月28日に容器形状を刷新し、片手で持って直接飲みやすく、リュックのサイドポケットにも入る胴径・形状に変更したところ、リニューアル後の2024年6〜10月の販売数量は前年比150%に伸びた(同社リリース)。1Lは従来「家庭向けの中容量」だったが、持ち運べる形にしたことで500mlの代替として選ばれるようになった。容量そのものではなく、容器の形が需要をつくり変えた事例といえる。

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アサヒ飲料は「アサヒおいしい水 天然水 シンプルecoラベル」でラベルのはがしやすさと環境負荷の低減を前面に打ち出した。ラベルレス化によりラベル由来のプラスチック使用量と二酸化炭素排出量を大幅に削減できるとして、エコ意識の高い購買層に支持されている。2026年はデザインを刷新しキャンペーンも強化する。

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容器そのものを替える動きも出ている。ペットボトルの代替としてアルミ缶を採用する事例は国内でも増えており、MIZUNOMOでは丹沢産アルミ缶天然水の5周年刷新で詳しく扱っている。

輸入水はどうなったか——金額・数量とも前年割れ

今回の統計で、輸入ミネラルウォーターは金額92.8%・数量96.1%と、金額・数量の両方で前年を下回った。150円前後の為替水準に海外輸送コストの上昇が重なり、外国産水の店頭価格が上がったことが背景にある。「同じ予算なら国産を多く買える」という比較が働きやすくなった局面だ。

とはいえ輸入水が置き換え可能かというと、そうではない。エビアン(硬度304mg/L)やコントレックス(硬度1468mg/L)のような欧州産硬水は、硬度・ミネラル組成の面で国産軟水と数値上はっきり別物であり、代替の効かない選択肢として支持が続いている。数量が減っても消えないのは、価格ではなく成分で選ばれているからだ。

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2026年夏の市場——5,000億円台の定着はなるか

2026年1〜3月のミネラルウォーター市場は前年比で引き続き好調に推移したとみられる。2026年夏の市場を左右するのは主に以下の3要因だ。

プラス材料

  • 猛暑継続による屋外・スポーツ需要の底上げ
  • 健康志向の定着(採水地・成分を重視する消費者の増加)
  • 災害備蓄需要の安定(大規模地震リスクへの意識継続)

リスク材料

  • PET容器コスト上昇(原材料ナフサの価格変動)による再値上げの可能性
  • 値上げ疲れによる買い控えの継続
  • 輸入品の円安影響(エビアン・コントレックスなど外国産の価格高止まり)

「数量減・金額増」という構図は2026年も続く可能性が高い。ただし、値上げ幅が消費者の許容範囲を超えれば数量の落ち込みが加速し、金額面の成長にも陰りが生じかねない。

各社が「1本の価値をいかに高めるか」という競争を続けるなかで、消費者の水に対するリテラシーはかつてないほど高まっている。MIZUNOMOでは70種以上のペットボトル水の硬度・pH・ミネラル成分を掲載している。今夏の水選びに、ぜひ比較機能を活用してほしい。


参考情報

監修・運営: 水野亮人(みずの りょうと)

プロフィール: iihito.jp ↗

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